2009年11月09日

阿部真央『貴方の恋人になりたいのです』

彼女、ただ者ではありません。聞いた瞬間、名曲の予感。まず出だしの声が耳を引く。素直な歌い方、でも誰にも似ていない。ただ上手いだけの歌手と違って、彼女にはスタイルがある。でも無理に作ってる感じはしなくて、あくまで自然。声に魅力があるって、ものすごい強みだと思います。

昨日送ったメールの返事はやはり
夜が明けた今も来ないまま
あぁ送らなければ良かったな
悔いだけが募ります


昨日メール送って、今朝になっても返事が届かないってことは、メール送ってから一日も経ってないんですよね。昨日の夜に送ったとしたらたぶん10時間ぐらい前。返事なんてすぐ返さない人もいるんだから、もうちょっと気長に待てば来るかもしれないのに、と言いたくもなりますが、でも分かります、この感じ。ついさっき送ったばかりなのに、もう何時間も経ったように思えて、なんどもメールを確認してしまうんですよね。

何でもない素直な歌詞。でも阿部真央の声とメロディで歌われると、すっと素直に入ってくる。この素直な感じ、これはなかなか出来ませんよ。そして「送らなければ」のメロディと歌い方。これはとても良い。かなり印象的です。

でも何といっても、この曲の一番凄いところは、

「バイトはなんですか?」「彼女はいますか?」
聞きたいことはたくさんあるわ


「バイトはなんですか?」の部分でしょう。もうここにこの曲のすべての魅力が詰まっていると言っていい。と言ったら言い過ぎですが、でもこれはとてもすごい。まず、これが、「バイトは何をしてますか?」とか、「何のバイトをしてますか?」だったらリズムが全然だめで、ここはやっぱり、「なんですか?」じゃないけない。そして、この表現は拙い。でもそこがイイ。この拙さは感動的。さらっと歌詞を書いてるようで、こういうところをきちんと押さえているんですね。で、このメローディー。「バイトは」で伸ばして、「なんですか?」で早くなる。完璧だ。。。こういうところに才能を感じます。

貴方をもっとちゃんと知りたいけれど
今よりもっと仲良くなりたいけど
深入りしたら嫌がりませんか?
そう思うと聞けなくて


めっちゃ消極的じゃん!でも、その気持ちも分かります。なんか遠慮しちゃうんですよね。この細かいところをしっかりと書いてるところが素晴らしい。これはとてもリアリティがある。

それにしても、素直な言葉で詞を書いてそれを歌詞として成り立たせることがいかに難しいことか。ただだらだらと日記風になるのではなく、かといって「それっぽい」言葉を使うわけでもなく、歌詞を成り立たせることが。。。特にこの歌の一番の歌詞は、よくポップスの歌詞にありそうな使い古された表現がないんです。「季節の中で」とか「あの頃」とか「涙に濡れた」とか。自分の言葉で書いている。プロの作詞家には書けない歌詞だと思います。

それに比べると、二番の歌詞はいまいちなんですが、一番の歌詞が良ければもうそれでいいと思います。たとえば、「西の空、雲を紅く染める」とかはハッキリ言って陳腐。でも、「決して派手な恋じゃなくていいから」というのは良いです。

で、歌い方の話に戻りますが、同じ阿部真央の『伝えたいこと』を聞いてみてびっくりしました。この人、曲によって歌い方を変えることができるんですね。これって結構難しいことだと思います(僕もこんな風に出来ないし・・・)。最近の歌手でここまで出来る人って実はあまりいないのでは?

ちなみに、どうでもいいけど、阿部真央の外見ってものすごく「普通」なんですよね。なんか高校とかで同じクラスに絶対いそう。ぜんぜん大物歌手っていう風貌じゃない。そんな子がこんな歌いっぷりを見せるギャップも魅力のひとつだと思います。そこは個人的にツボです。

そんなわけで、阿部真央の『貴方の恋人になりたいのです』、一押し。こういう力のあるアーティストが力を伸ばせる音楽界でありますように。
posted by aye(あい) at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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