2009年11月07日

04 : Sixième Continent

二週間の大学のオリエンテーションコースが終わると、リアに会う機会も減っていった。それぞれが別の授業を取っていたからだった。もちろん、リヨンという大きくない町に住んでいる以上、会おうと思えばすぐに会える。けれども、他に同じ授業をとっている友達がいろいろできたこともあって、特別リアに連絡することは少なくなっていった。

一度だけ、友達との食事にリアを誘ったことがある。メールは当日になっても返ってこなかった。その次の日、申し訳なさそうなメッセージが届いた。ずっと旅行をしてたとのことだった。僕は、メールの返事をずっと待つのがあまり好きでなかった。それに、すぐに返事を返さないというのは、間接的にあまり乗り気でないことを意味しているのかのようにも思えた。そんなこともあって、それから自分からリアに連絡をすることは無くなっていった。

リアと意外な形で再び会う機会が訪れたのは、11月の後半だった。それは、日本人がよく知っている11月にフランスで行われるイベント、ボジョレーヌーボー解禁がきっかけだった。

リヨンはパリから南へ電車で二時間ほどの、フランスのローヌ県にある。ボジョレーはそのローヌ県の北に位置する。つまり、リオンから近いのだ。そんなことから大学が留学生のために、解禁前夜にボジョレーを訪れ、深夜12時の解禁と同時にボジョレーヌーボーを飲もうという企画を用意したのだった。僕はすぐさま新しくできた友達と誘い合わせ、参加を決めた。

これに参加した学生の数は多く、当日はバスが4台用意された。といっても、誰もが自由にどのバスにも乗れるというわけではない。自分の乗るバスが決められていて、乗る前にきちんと出席が取られた。僕は2番目のバスだった。

「久しぶり!」

バスに乗ろうと並んでいる僕を見つけたのが、リアだった。彼女も同じバスだったのだ。僕はリアが嬉しそうに話しかけて来たことを少し意外に感じた。リアが自分から遠く離れていってしまったように感じていたからだった。

久々に会った僕らは、例によって近況などを報告しあった。しかし、それぞれが別の友達と一緒に来ていたので、行きのバスの中では離れた位置に座った。ボジョレーについても、一緒に行動することはなかった。それでも途中に寄ったワイン倉などで顔を会わせる機会があり、わりとよく話しをした。

リアと知り合ったばかりの頃、すなわち大学のオリエンテーションコースにいた頃、どちらかといえば僕からリアに話しかけることが多く、彼女のほうから積極的に話すことは少なかった。リア達と一緒に見に行った例のパレードも、たまたま僕がメールを送ったから一緒に行くことになったのだった。そして、メールがすぐに帰ってこなかった食事の件もあって、僕は、リアと実はあまり仲良くなかったのかもと思い始めていた。しかし、この日の様子からすると、そんなことは全くなく、単に僕の思い違いであるように感じた。

帰りのバスでは、わりと席が近かった。

「ねえ、なんかいいブラジル音楽があったら教えてよ。」

僕はリアに聞いてみた。

「ブラジル音楽について知りたいなら・・・」

彼女は一枚のフライヤーを差し出して言った。

「・・・このライブに来るといいよ。ちょうど友達と一緒に行こうと話してたところだし。」

見てみると、なるほど、たしかにブラジル音楽っぽい感じのライブだった。ただ、ミュージシャンの名前や、音楽の種類、解説などを読んでも、いまいちピントこなかった。そもそも、はたしてそれがブラジル音楽なのかどうかもよくわからなかった。

僕は行こうかどうか迷って、少し曖昧な返事をした。パレードの時に盛り上がっていた、ブラジル音楽への熱も冷めかかっていたのだった。

家に帰ってからも、行こうかどうか決めかねていた。フライヤーから見る限り、それほどそのライブが魅力的に思えなかった。それでも好奇心が勝ったのだろう、最終的には行くことにした。何でも試してみなければ分からない。

そのライブハウスはSixième Continent(六番目の大陸)という名前だった。

posted by aye(あい) at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ブラジルへの道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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